デジモンサヴァイブ:評価&感想
「高級食材で、料理を作ってください」
大抵は美味しい料理が出てきます
ですが、そうはいかなったのが『デジモンサヴァイブ』
最高の素材を用意して、仕上がった作品は褒められる内容ではありませんでした
ストーリー、戦闘システムという、ゲームの根幹とも言える要素
そのどちらも高印象だったのですが、全体の内容としては値段に見合うものではありませんでした
高級素材たち
ストーリー
「どのデジモンなら勝てそう?」
高校生のとき、クラスメートに突如聞かれた質問です
いま思い出しても馬鹿らしい話題ですが、当時の僕らは大真面目に話し合いました
まず勝てそうなデジモンの世代から考えていきました
ボタモンの幼年期などは酸のアワを吐きます
人間側は木の棒や、石など、アワより遠距離から攻撃すれば安全
アグモンなど成長期になれば、鋭い爪に、炎を吐きます
この時点で、大人と変わらない高校生の体格でも無理、という結論に至りました
なんの話かというと、『デジモンサヴァイブ』の主人公たちは、こういったサバイバル状況に放り込まれることになります
爪や、牙が長いのがデジモンなので、攻撃されれば主人公たちは絶命は免れません
そういった危機感のある、過去にはない緊迫感
これらが本作のストーリーです
キャラクター
またまた話は変わって、マーティ・マクフライをご存でしょうか
SF名作映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公です
マーティを紹介したのは、彼が主人公であり、主人公でないから
『デジモンサヴァイブ』の主人公も同じタイプになります
マーティはある事件に巻き込まれ、両親が高校生の頃にタイムスリップしてしまいます
父親はいじめられっ子で、いじめられっ子が母親に惚れています
マーティーはなんとか両親をくっつけようとする、というのが『BTTF』のストーリーです
マーティーは主人公ですが、話を押し進める役割ではないこと
監督や、ディレクターの解説によると、マーティーの役割は“ナビゲーター”だということです
裏方と言っても良いかも知れません
はい、『デジモンサヴァイブ』の主人公も、おなじナビゲーターとなります
彼らナビゲーターは目的のために、周りのキャラクターを動かしていきます
「どうのように動かすのか?」というと、“会話の選択肢による好感度の上昇”で決まります
好感度がもたらす変化
- ストーリーの展開
- パートナーの進化先
- 戦闘で追撃してくれる
雰囲気は『ひぐらしのなく頃に』のようなホーラー地味た展開なので、人を選ぶタイプの作品かもしれません
それでも、デジモンたちが襲ってくる切迫した状況や、予想を裏切る展開など
全体を通して、ストーリーは楽しむことができました
バトルシステム
『ファイアーエムブレム』でシミュレーションRPG(SRPG)が周知され
『タクティクスオウガ』で高低差による、地形戦略が生まれました
これが日本のSRPGの大まかな始まりだと思っています
『デジモンサヴァイブ』が手を伸ばしてのは、そういった元は戦争シミュレーションといったジャンル
ところで、「高級素材」と言いましたが、『サヴァイブ』のバトル部分は褒められたものではありません
戦闘が進むテンポは悪いですし、強力なデジモンをそろえれば考えなしに勝ててしまえるバランスです
あくまで今回高評価にしたのは、その将来性
SRPGはユニットを装備や、経験値で強化していくのが基本となります
対してデジモンは進化と、退化するのが当たり前
そういった作品設定も相まって、工夫すれば幅のある戦闘が望めそうです
さらにシステムを磨けば、立派なシリーズになると判断しました
UIや、バトルのテンポなど、改善して欲しいところは多々ありますが
デジモンのゲーム作品のなかでも、システムの将来性を感じました
なにが悪かったのか
冒頭で本作を料理に例えました
最高の素材があって、どうして完成した料理がああなったのか……
理由は簡単、それは素材を引き出せなかったから
ストーリーの面白さ、戦闘部分の面白さ
それぞれを制作過程で、殺してしまったと考えています
やる気のない演出
『サヴァイブ』では、バトル部分・ストーリーパート・探索&会話選択肢
この3パートでゲームが構成されています
問題なのが、全てのパートの演出が薄っぺらいこと
ストーリーパートや、会話選択のパートは、俗にいう“紙芝居”
キャラクターの口も開くか、閉じるかの2パターンしかないので、会話中はパクパク状態
正直ストーリーは立ち絵の良さと、声優さんの演技でギリギリもっています
バトルマップでは人間のキャラクターがマス目に沿って不自然に移動したり
戦闘時のグラフィックも、恐らく頭・腕・胴体・足など、各パーツをそれぞれアニメーションのソフトで動かしていると思います
予算の削減や、作業のスピードを考えた結果、こういったワンパターンな動きや、糸で吊っているような動きになったんでしょう
フルプライスの作品では目にしたくなかった演出です
調整不足
未調整のまま発売した
ここが不味い作品になった一番の原因だと思っています
いないはずのキャラがミニイベントに参加したり、ゲームのテンポや、進化できるタイミング
10章で進行不能バグもあるらしく、調整を切り上げて発売したと思うほどです
また、大人向けのストーリーに、子供向けのバトル難易度
誰に向けた作品なのかもチグハグ
これが2,000円、3,000円のソフトならわかりますが、本作は定価7,678円
とても内容と、価格が見合ってません
安く作って、高く売る
儲かる基本の常套句ですが、エンタメというジャンルではユーザーを舐めているとしか言えません
まとめ
ストーリー、戦闘システム
ともに良かったのに、出来た作品は不思議と駄作
なんともデジモンゲーらしいと言えば、らしいですが
元が良かっただけに、今作の感想は書いてても悲しくなってきます
ゲームに限らず、デジモンの弱点は設定が一貫していないことだと思います
『デジモンワールド』の人気から『2』を見切り発車した時代から変化してない様子
バンダイナムコはコンテンツを大事にして下さい
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